さつまいもの栄養成分は?効率的な摂取や保存方法を解説
さつまいもには、炭水化物やビタミンC、カリウムなどの栄養素が多く含まれています。詳しい栄養成分や栄養素の効果的な摂取方法、保存方法について解説しています。おすすめのレシピについてもご紹介しています。
さつまいもは、イモ類のなかでも甘みがあって食べやすい食材です。栄養価も高いため、大人だけでなく小さなお子さまにもおすすめです。そんなさつまいもを食べるのであれば、効率的に栄養素を摂取でき、美味しい方法で食べたいものです。
そこで今回は、さつまいもの栄養成分や効率的な摂取方法、おすすめのレシピについて解説します。さつまいもについて詳しく知りたい人やお子さまの食育に興味がある人は、参考にしてください。
さつまいもの栄養成分は?
さつまいもには多くの栄養素が含まれており、それぞれに効能があります。どのような栄養素が含まれているのか、詳しく見ていきましょう。
炭水化物
炭水化物は三大栄養素のひとつです。生のさつまいも100gには、皮つきで33.1g、皮なしで31.9gの炭水化物が含まれています。炭水化物は糖質と食物繊維に大別されるのですが、糖質は素早く体に吸収されることから、エネルギー補給に向いています。
ただし、摂りすぎると中性脂肪として溜め込んでしまい、太る原因になるため、注意が必要です。
食物繊維
食物繊維は生のさつまいも100gには、皮つきで2.8g、皮なしで2.2gが含まれています。糖質の吸収を緩やかにして食後の血糖値上昇を抑えたり、腸内環境を整えたりする働きがあります。
コレステロールを下げる作用もあり、病気の予防に役立ちます。
カリウム
さつまいもには、100gあたり皮つきで380mg、皮なしで480mgのカリウムが含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウムの排出を促すミネラルです。
ナトリウムを摂り過ぎると高血圧やむくみの原因になるため、さつまいもを食べることは高血圧やむくみ予防に役立ちます。そのほか、筋肉の収縮や神経伝達など、生きていくうえで欠かせない重要な役割を担っています。
カルシウム
さつまいもには、100g中皮つきで40mg、皮なしで36mgのカルシウムが含まれており、骨や歯の健康に役立ちます。不規則な食生活や過度なダイエットで不足しやすく、吸収率も悪いため、積極的に摂取しましょう。
また、カルシウムは骨粗しょう症の予防に効果があり、血液の凝固を助ける役割を果たします。また、神経の働きを調整し、ストレスを緩和する効果もあります。
リン
リンはさつまいも100g中に皮つきで46mg、皮なしで47mg含まれており、カルシウムとともに骨・歯の主要な成分となり、強度を保つ働きがあります。そのほかにも、体内でエネルギーを蓄える働きや神経・筋肉の機能維持など、生きるために必要不可欠な役割を担っています。
マグネシウム
マグネシウムは、100gあたり皮つき・皮なしともに24mg含まれています。マグネシウムは、カルシウム・リンとともに骨の構造を支える、重要なミネラルのひとつです。
また、多くの酵素の働きをサポートすることでエネルギー代謝に関与していたり、血液循環を維持したりする働きもあります。
葉酸
葉酸は100g中に皮つき・皮なしともに49μgと豊富に含まれており、赤血球をつくり出したり細胞の新陳代謝に関与したりと、体内で重要な働きをしています。また、妊娠中に十分な葉酸を摂取すると、胎児の先天的な病気の予防に役立ちます。
さらに、乳幼児の発育にも大きな影響を与えるため、妊娠中および授乳期の女性は積極的な葉酸の摂取が必要です。
ビタミンA(β-カロテン)
βカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、視力の維持や免疫機能の強化、肌の健康維持などに重要な役割を果たします。さつまいもには100gあたり皮あり40μg、皮なし28μg含まれており、油に溶ける性質を持ちます。
ビタミンC
さつまいもには、100g中に皮つきで25mg、皮なしで29mgと、イモ類のなかでもトップレベルの量のビタミンCが含まれています。ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の強化や肌の健康維持、コラーゲンの生成に重要な役割を果たします。
また、ビタミンCは加熱に弱い性質を持ちますが、さつまいものビタミンCはデンプンに守られており、加熱調理しても比較的多くのビタミンCが保持されるため、栄養価が高い状態で摂取できます。
さつまいもの種類
さつまいもにはさまざまな種類があり、それぞれ味や食感が異なります。以下は、日本でよく見られるさつまいもの主要な種類と特徴です。
用途に合わせて、使い分けるのがおすすめです。
安納芋
安納芋は、スマトラ島北部のセルダンという地域から兵士が持ち帰った芋を島内で栽培し始めたことが起源とされています。さつまいものなかでもとくに甘みが強く、ショ糖が多く含まれています。
ねっとりしていて、クリーミーな食感とコクがあるのが特徴です。中身は鮮やかな黄色・オレンジ色で見た目にも美しく、全国的に人気が高い品種です。
べにはるか
べにはるかは、しっとりとしてねっとりとした食感と甘さが特徴的です。しばらく保存・熟成させることで、さらにしっとりしてねっとりとした食感になり、甘さも増します。
形が整っていて、丸ごと焼き芋にした際の見た目が美しい点も魅力です。味にクセがないため、和菓子や洋菓子との相性も抜群です。
シルクスイート
シルクスイートは、絹のようになめらかな舌ざわりで甘みが強い品種です。「シルクスイート」は商標名で、正式な品種名は「HE306」になります。
形状は紡錘形でそろいがよく、鮮やかな赤紫色の皮と黄色みの強い中身で、見た目の美しさも魅力のひとつです。2012年に誕生した新品種でありながら、人気が高い品種となっています。
ベニマサリ
紡錘形で、さつまいもの中では中くらいの大きさです。肉質は粘質ですがしっとりし過ぎず、ホクホクとした食感も楽しめる品種です。
蒸し芋にすると甘みが引き立ちます。焼き芋にすると香りがよく、なめらかな舌ざわりを楽しめます。
シルクスイートの親となる品種で、皮は赤色、中身は淡い黄色です。
ベニアズマ
ベニアズマは非常にポピュラーな品種で、とくに関東をはじめ東日本で盛んに栽培されています。ホクホクとした食感が特徴で、甘みもしっかりしています。
素朴な昔ながらの美味しさを楽しめる、長く愛されている品種です。長紡錘形で少しゴツゴツした見た目をしています。
高系14号
西日本を中心に栽培されており、古い歴史をもつ品種です。ねっとり感があり、ホクホクとした食感を楽しめます。
スジがほぼ無いため、食べやすいところも魅力のひとつです。徳島の「なると金時」や鹿児島の「紅さつま」など、派生したオリジナルブランドが開発されています。
パープルスイートロード
「パープルスイートロード」は、農研機構が開発した新しいサツマイモの品種で、アントシアニン色素を含む「九州119号」と5種類の品種の花粉を交配して誕生しました。
皮と中身が、濃赤紫色〜赤紫色の外観をしているのが特徴の品種です。肉質にもアントシアニンを含んでおり、少し粉質となっています。
一般的に紫芋は甘みが弱いとされていますが、パープルスイートロードは、紫芋の中では十分な甘さを誇ります。
コガネセンガン
皮はじゃがいものような色で、中身は白色をしています。おもに焼酎の材料として使われており、宮崎や鹿児島を中心に栽培されています。
加熱すると粉っぽくなり、きめ細かでホクホクした食感が特徴です。焼き芋をはじめ、ふかし芋や大学芋など、幅広い食べ方で楽しめます。
アヤムラサキ
中身が濃紫色をしているのが特徴で、アントシアニンを多く含みます。ホクホクとした食感を楽しめます。
甘さは控えめで加工しやすいことから、紫色の色素を活かしてジュースや加工品にすることが多いです。
さつまいもの栄養素を効率的に摂取するには?
さつまいもは栄養価が高く、さまざまな健康効果が期待できる食材です。効率的に栄養素を摂取する方法を知っていれば、さつまいもの健康効果を最大限に得られます。
ここからは、効率的な摂取方法を2つご紹介します。
皮ごと食べる
皮には食物繊維が豊富に含まれているため、できるだけ皮ごと食べることをおすすめします。皮つきの場合の食物繊維量は、さつまいも100gあたり2.8gですが、皮なしの場合は2.2gと激減してしまいます。
食物繊維には腸内環境を整える作用があるため、お腹の調子に悩みを抱える人は意識して皮ごと食べてみてください。
水にさらす時間を短くする
さつまいもを調理する際、アク抜きや変色を防止するために、水にさらすことがあります。しかし、長時間水にさらすと栄養素が流出してしまうため、注意が必要です。
さつまいもに豊富なカリウムやビタミンCは水溶性であり、長時間のアク抜きで流出してしまいます。さつまいもはアク抜きしなくても問題なく食べられます。
どうしてもアク抜きや変色を防止したいのであれば、10分程度で済ませましょう。
さつまいもの保存方法
さつまいもの美味しさを長期間保つためには、適切な方法で保存することが重要です。この章では、正しい保存方法をご紹介します。
さつまいもは寒さに弱い
さつまいもを冷蔵庫で保存する人も多いのではないでしょうか。しかし、さつまいもは寒さに弱く、冷蔵庫のような低温環境での保存は適していません。
5度以下になると低温障害を起こし、甘みが失われたり変色したりします。変色すると苦みが強くなるため、変色がみられる部分は切り取って食べるのがおすすめです。
夏場以外は常温保存にする
基本的には、夏場以外は常温保存が適しています。13度から15度が理想的な温度です。
土がついている場合、まずは屋外でしっかり乾燥させてください。土は水分を含むため、そのまま保管すると雑菌が繁殖しやすいからです。乾燥させたら新聞紙で包み、風通しがよい冷暗所で保存しましょう。
たくさんさつまいもがある場合は、新聞紙で1本ずつ包み、段ボールなどの箱に入れて保管してください。通気性をよくするために、箱に穴をあけておくのが理想です。
また、保存する際は「1本丸ごと」が基本です。包丁などで切ったものは変色しやすいため、ラップで包んで冷蔵保存してください。
20度以上なら冷蔵庫で保存する
夏場の暑い時期は、常温保存では傷みやすかったり発芽したりしてしまいます。そのため、20度以上であれば、新聞紙に包んで野菜室で保管してください。
冷風が当たりにくい、冷蔵室のドアポケットでも問題ありません。
冷凍保存の手順
冷凍保存では、1か月ほど保存可能です。まずはさつまいもを洗って、食べやすい大きさにカットします。
キッチンペーパーなどで水気をしっかり拭き取り、冷凍用の保存袋に入れます。重ならないよう平らにしたら、冷凍庫に入れます。
使うときは、凍ったまま調理できます。あらかじめ乱切りや輪切りなど、料理の用途に合わせてカットしておくと、使いやすくておすすめです。
また、焼き芋やマッシュポテトなど、調理済みのものも冷凍保存可能です。粗熱をとって保存袋に入れるだけでよく、調理の手間が省けるため忙しいときに役立ちます。
さつまいものおすすめレシピ
さつまいもは甘みがあり、さまざまな料理に応用できる優れた食材です。美味しく食べられるレシピをご紹介します。
揚げない大学芋
材料(2人分)
さつま芋・・・1本(200g)
炒りごま・・・小さじ1
なんでもごたれ・・・大さじ2
さつまいもの煮物
材料(2人分)
さつまいも・・・1本(300g)
バター・・・10g
黒ごま・・・適量
なんでもごたれ・・・大さじ2
水・・・200ml
さつまいもの炊き込みご飯
材料(2合分)
米・・・2合
さつまいも・・・1本(200g)
え~だし・・・大さじ2
水・・・400ml
黒ごま・・・適量
さつまいものきんぴら
材料(2人分)
さつまいも・・・中1/2個(150g)
なんでもごたれ・・・大さじ2
炒りごま(黒)・・・小さじ1
サラダ油・・・大さじ1
ごま油・・・小さじ1
さつまいももち
材料(2人分)
さつまいも・・・250g
片栗粉・・・大さじ2
バター・・・15g
砂糖・・・大さじ2
A なんでもごたれ・・・40ml
A 砂糖・・・大さじ2
A 片栗粉・・・小さじ1
A 水・・・40ml
肉さつま
材料(2人分)
牛肉(こま切れ肉)・・・150g
さつまいも・・・300g
玉ねぎ・・・1個(250g)
人参・・・1/2本(70g)
しらたき・・・1袋(180g)
青ねぎ・・・2本
米油・・・大さじ1
なんでもごたれ・・・50ml
水・・・250ml
さつまいもとごぼうの甘辛炒め
材料(2人分)
さつまいも・・・150g
ごぼう・・・50g
片栗粉・・・大さじ1
炒りごま・・・大さじ1/2
なんでもごたれ・・・大さじ1と1/2
サラダ油・・・適量
レシピで使用している「なんでもごたれ」「え~だし」をぜひ一度お試しください。
まとめ
さつまいもは栄養価が高く、さまざまな健康効果を期待できます。種類も豊富で、それぞれ異なる風味や栄養成分が楽しめます。効率的な摂取方法や適切な保存方法を実践することで、その美味しさと栄養を最大限に引き出し、さつまいもを楽しみましょう。
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